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来ません。その農業水のために井戸を掘り、汲み上げるには電気が必要です。その電気が高いのです。こういった問題は途上国には多々あると思います。こういった問題はまさに地球規模的な視点で、地球規模で協力を行い安全保障を考えていかねばならないと思います。

 

太田豊秋議員(日本)
谷津先生からも、ご提言があったわけですが、食料安全保障を行ううえで、各国それぞれに問題があるということもよく理解できます。
各国の事情をそれぞれ考えていきますと、食料安全保障は、自給自足をまず達成するという考え方を基本に持たなければならないと思います。3人の先生方から、それぞれ人口の問題、食料の問題等ご発表がありました。人口の増加に比べ食料の生産量がだんだんと減っていくということになると、ますます食料は不足状況になっていくと考えられます。
そうなると、食べることのできない栄養不良の国々がでて、そういった国で暴動も起きかねない現状になっていくと考えられます。従いまして、私たちは、食料問題を世界規模で考えると同時に、どの国も自分で食べていくことが可能である状況を作り上げる必要性がある。
川野先生からお話がありましたように、世界規模で考えていく場合、先ず、備蓄の問題が重要になってきます。もう1つ、農業は、環境問題と非常に密接な関係があります。たとえば、焼き畑農業は環境破壊を引き起こしていますし、また、あまりにも多くの化学肥料、あるいは殺虫剤等々を使用した場合には、地下水は汚染されていきます。このような現状を続けていると、将来は私どもの子孫に汚れた地球をバトンタッチすることになります。これは、今、我々大人が考え、反省していかなければならない問題です。
谷津先生からご提言がありましたが、農業問題、確かにこれは経済行為ではありますが、これを単なるWTOの貿易の観念の中だけで取り上げていくのではなく、やはり別な協議の場を作って、農業、農産物というものを新たに考えていくという、非常に重大に時期にきたのではないかと思います。その意味でこの会議は、非常によいタイミングであったと考えられます。

 

川野重任:リソースパーソン(日本)
先程、食料の安全保障につきましては、まず、各国が自分のところで掲げている問題を基にして、そこからスタートするということをお話ししましたが、人類がこれだけ増えて、しかも平和を享受している、生活水準もかなり上がってきているという事態におきましては、まさに人類全体の責任として、少なくとも1人の人間も飢えさせ

 

 

 

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